これもN村での子供時代のことだ。 ある休日の夕方、早朝から出かけていた父親が、嬉しそうな顔をして帰ってきた。私の顔を見ると、荒い目のむしろのような布の袋から、何かを取り出そうとしている。 「ほら」と言って取り出したのは、透明なビニール袋に入った黒いうごめくものだった。そのうごめくものは蛇にそっくりだが、明らかに肌に水分が多くぬめぬめしていた。めったにうなぎは食べなかったが、「うなぎだ〜」とすぐに答えた。 父はその袋の中身を流し(キッチンシンク)にあけた。数十匹のうなぎがキッチンシンクの中でうごめいている。だが、よく見ると、口がヒルのようだし、目が小さく、腹に穴が開いている。グロテスクな姿をして…