「セネガル」「民衆運動」このテーマははたしてどこまで日本の読者に身近な問題といえるだろうか。本書『ヤナマール セネガルの民衆が立ち上がるとき』は分厚い大著ではないが、しかし必ずしも読みやすい本とはいえない。しかし、評価は読み手にもおよぶ。セネガル民衆運動の報告を日本の読者がどのように受け止めるかということは読み手も評価の対象になるということである。その点でも本書は簡単な本ではない。 ■「ヤナマール」の意味と本書の構成■ 「ヤナマール(Y'enamarre)」とは、フランス語で「もう、うんざりだ」という意味である。フランス語の原著は2012年、日本語版は2017年の出版であるが、本書は2011年…