西域――すなわち、古代の中国人にとっての自国西方タリム盆地の国々、現代においては中央アジアとその周辺を含むさらに広い地域――は、古くから綿々と繰り広げられてきたドラマティックな歴史絵巻に加え、その中央を横断して通ずるシルクロードが人の旅情を刺激することから、数は多くないにしろ熱烈な愛好家が存在する。 そんな西域マニアにとってのバイブルとして、スウェーデンの地理学者・探検家スヴェン・ヘディンの「中央アジア探検紀行全集」、またはこれを包含する形の「探検紀行全集」があるが、もう一つ、同じ白水社が1966年から71年にかけて刊行した、「西域探検紀行全集」(全15巻+別巻1巻)も、同格の書籍と言うべきだ…