カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)
スイスの精神科医。 分析心理学の創始者。
ケスウィルに牧師の子として生まれ、クラフト・エービングの著書に影響を受け精神医学の道へ進む。バーゼル大学医学部卒業後、チューリヒ大学の精神科でブロイラーの助手となり言語連想法の研究で有名となる。
S.フロイトの《夢判断》を読み感激したユングは、 1907 年にフロイトを訪ね、両者は協調して精神分析学の建設と発展に寄与。
1910 年、国際精神分析学会の会長になるが、 1912 年に発表した《リビドーの変遷と象徴》によってフロイトとの考えの相違が明らかとなり、論争を重ねた末に訣別する。
その後、1913‐6 年にわたって、強い方向喪失感に襲われ、創造の病ともいえる内的危機に直面する。(この時、彼の机の引き出しにはリボルバーが用意されていた)
この時期に彼自身が体験した〈無意識の対決〉を基礎として、それに学問的検討を加えることによって、彼独自の分析心理学の体系を確立。
ユングは精神病者の幻覚や妄想が古来からある神話、伝説、昔話などと共通の基本的なパターンの上に成り立っていることを認め、 〈元型〉、という考えを提唱した(1919)。 彼は人間の心の世界には個人的無意識と普遍的無意識という 2 つの層が存在し、後者はひろく人類に共通であり、そこに元型が存在すると仮定した。
1920 年代より、キリスト教と自然科学を相対化する努力を続けた。
また各界の学者と共に「エラノス会議」を設立(1933)。ヨーロッパ史の表面には現れなかった秘教的伝統を研究した。
また、彼は中国の〈道〉の考えに影響され《易経》や、日本の禅などの紹介にも努めた。
主な著書は《心理学と錬金術》 (1944)、 《アイオーン》 (1951)、《結合の神秘》(1955‐56)。彼の考えは当初あまり理解されなかったが、70 年代より世界の人々の関心を集め今日では高い評価を得ている。
http://www.d4.dion.ne.jp/~yanag/kora7.htm
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