キーワード : 誤解,ぷかぷか,かぷかぷ,失笑,嘲笑 童話『やまなし』は地方紙の岩手毎日新聞に大正12(1923)年4月8日に掲載されたものである。「クラムボンはわらつたよ。クラムボンはかぷかぷわらつたよ。・・・」と「アイヌ」の叙事詩ユーカラのような「韻」を踏んだ繰り返し(リフレイン)の多い文章で始まる。前報で,私は童話『やまなし』が谷川の川底に先住していた〈クラムボン〉と移入種の〈魚〉の悲恋物語であるということを報告した(石井,2021a,b)。この物語は,〈魚〉が〈クラムボン〉に婚約指輪を真似て「口を環(わ)のように円(まる)く」して近づいたとき,「カワセミ」に天空へ連れ去られて恋が終わる…