2月最初の週末。 天気が良く、暖かい日だった。 その日は同僚と一緒に私がかつて学生時代に住んでいた街に出かけた。 昼からブルガリアのオレンジワインを飲み、仕事の話やテレビの話など他愛ない話をした。 店を出る際に店員さんが出してくれた飴が入った籠の中から、個包装のピュレグミを見つけ、同僚に自慢した。 古本屋の前を通った。 古本屋というよりかは、万屋といったところ。 おばあさんが一人で切り盛りをしているその店の商品は、松本伊代のレコードやフランス製のお皿、年代物のコート、温泉街のお土産物など一貫性がなかった。 歩道に面した壁に埋め込まれた木製の本棚。 その横には赤と青の大きな文字で「古本・不用品 …