ライ麦から作ったパン。「ライ」(rye)から作った「パン」なので『ライパン』とも呼ばれ、また、通常作られるパン(小麦パン)より黒いので「黒パン」ともいう。ライ麦パン(黒パン)はロシア、東欧、北欧、オーストリア、ドイツなどで、多く食べられている。
しかしライ麦パンと「黒パン」は同義ではない。黒くなる理由は全粒粉や、皮や胚芽を含む精製度の低い粉を使用するためである。そのため精製度の高い粉を使うあまり黒くないライ麦パンもある。しかし全粒粉や精製度の低い粉を使用すると、栄養価が高く、麦の旨みを味わえるパンができる。また、全てライ麦ではなく、小麦や燕麦を混ぜたライ麦パンもある。小麦を混ぜたライ麦パン(ライ麦を混ぜた小麦パンともいえる)は色が薄く柔らかくなる。この混ぜる割合により様々なライ麦パンの種類がある。
ドイツパンの場合、ライ麦の配合率で呼び方が決まっている。小麦は「ヴァイツェン(Weizen)」、ライ麦は「ロッゲン(Roggen)」、混ぜるは「ミッシュ(misch)」、パンは、「ブロート(brot)」なので、「小麦/ライ麦(Weizen/Roggen)」+(「混ぜる」(misch)+)「パン(brot)」という表記方法になる。ドイツで定められている名称は、以下の通りとなる。
小麦パンでは発酵にイースト菌がよく使われるが、ライ麦パンでは主にイースト菌ではなくサワードウが使われる。そのため生地に酸味がある。小麦のパンより膨らみが悪いので、硬くて密度が高く、麦の濃厚な旨みを味わえ、噛みごたえや食べごたえがあり腹持ちがいい。小麦のパンよりビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれている。