書かれた時期は1940年代半ばである。が、戦争の話は出てこない。 主人公ホールデンは、世の中の全ての常識に反抗したくなる16歳である。全ての権威に盾つき、通らなければ自分が傷つかない言い訳を見つけて避けて通る。自分が非力なことを重々承知だが、批判・批評し、結果徐々に状況は悪くなっていく。若き頃、誰もが身に覚えのある経験であろう。 本書はこの脈絡のない惨めな出来事で埋め尽くされている。盛り上がりも、盛り下がりもない。 さて雑感 ・ホールデンが通っていたのはボーディングスクール(寄宿学校)で、お金持ちの子息が行く学校である。彼は18歳の生徒と同室である。驚くのはその対等なことである。日本だと先輩が…