村上春樹翻訳ライブラリーの『バースディ・ストーリーズ』から短編作品をご紹介します。本書は《誕生日》をキーワードに選定された英米文学のアンソロジーです。この多種多様な取り合わせを、村上春樹がどのような意図で構成したか最終的に考察しますのでお楽しみに。 最初の著者ラッセル・バンクスは、編集者の経歴を経てプリンストン大学の教壇にも立つ作家です。現代アメリカ文学で、白人労働者階級の悲哀を書かせたら右に出るものがいないと言われる巨匠です。本作も心温まる内容に仕上がっています。 《あらすじ》 若い頃に役者を志していた私は、現在は暖房設備の部品販売で生計を立てている。ある雪のちらほらと舞う夜に、なじみのレス…