私はブータンを訪れた後、同じラマ教文化圏のインド西北部にあるラダク地方を、1976年9月に訪れた。ラダクは、もともと西チベット高原の一部で、カシミールの首都スリナガルから標高4,000m以上もの峠を越して行く高地。9月末にはもう寒く、5・6千m級の山々はすでに白く、狭い谷間にチベット系の人々が、家畜を放牧し、麦を栽培して、四角い土の家を建てて生活を営んでいた。 上はインダス河沿いのレーへの道 下は車の運亭主と筆者 標高3,500mもある中心都市ㇾ―は、インダス川沿いの平地にあり、周囲を高い山々に囲まれていた。緑が多く稲作地帯であったブータンとは異なって、自然環境が大変厳しく、寒くて乾燥していた…