『神よ、ポーランドをお守りください』。ポーランドの人々は幾世紀にもわたって、このような祈りを教会でキリストにささげたに違いない。同じ言葉を私たち日本人は、神にささげたことがあるのだろうか。それは別にしてポーランドはこれまで大国によって侵略され、国民は長い間苦汁をなめ続けた。20世紀。ナチスドイツの侵攻とユダヤ人の虐殺、ソ連支配下の1党独裁・監視社会、民主化への激しい闘争は近現代史に色濃く残っている。それだけに、ショパン(1810~1849)作曲の「聖歌」として、敬虔な祈りを込めた『ラルゴ』は、聴く者の心に響く。2021年のショパン国際コンクール。2位になった反田(そりた)恭平さんは3次予選の中…