先週の洋書まつりで買った本の中にヴァレリー・ラルボーの伝記があった。謎のダブリ本の群れの中の一冊である。著者はベアトリス・ムスリという人で1998年にフラマリオンから出ている。この本によればボルヘスはラルボーに『審問』を献呈したらしい。『続審問』ではなく、生前は再刊を許されなかった『審問』のほうである。国書のボルヘス・コレクション中の『無限の言語』に抜粋収録されているあの本である。『審問』を一読して驚嘆したラルボーは1925年にある雑誌にこんなレビューを載せたという。「バークレーの哲学、サー・トマス・ブラウン、エドワード・フィッツジェラルド、ジェイムズ・ジョイスについての研究あるいは覚書、ドイ…