崇高論といえばカント、バークといった17世紀後半の人々が有名ですが、実は20世紀後半にもこの崇高をめぐる議論が盛り上がりました。今回は20世紀後半の代表的な思想家、ジャン・フランソワ・リオタールが崇高をどのように考えていたのかを見ていこうと思います。 まずは簡単に崇高の説明。 カントの崇高論 カントは17世紀後半のドイツの哲学者ですが1790年刊行の『判断力批判』でこの崇高概念について論じています。 まず、崇高は美とは違います。人間が崇高を感じる対象は、大自然。例えば、エベレストのような大きな山、イグアスの滝のような大きな滝。そして大きな建造物。ピラミッドなどです。 私たちが宝石を見て感じる美…