94. 今野敏『戦場 トランプ・フォース』(中公文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ 前回紹介の『切り札』が面白かったので、続けてシリーズ第二弾を読了。相変わらず楽しめたが、第一弾よりは興奮が落ち着いた。読んでいて冷静になったのは、「対テロ特殊部隊」の面々が強くなりすぎたからだと思う。前作では、一端の会社員であり武術家であった主人公が、突然「兵士」となった中での葛藤や苦悩がみられて、失敗や敗北の影がちらつく危機感とスリルを味わえた一方で、本作ではプロの兵士として構成員がみな独り立ちしており、安定感が増した分、ヒリヒリするスパイスが減った印象だ。 そうはいっても、銃弾や手榴弾が飛び交う戦場にあって、…