アイロンの余熱と、朝のやさしさが満ちるとき 月曜日の朝。 ヒロは出勤の支度をしながら、クローゼットの前で立ち尽くしていた。 「……あれ、着ようと思ってた白シャツ、どこ行ったっけ」 マユミはキッチンでコーヒーを淹れながら、ふと振り返る。 「昨日、洗濯してたでしょ? 今アイロンかけてあるよ、テーブルの上」 「あ、本当だ……」 リビングのテーブルには、きちんとたたまれた白シャツ。 袖にはうっすらとアイロンのあとが残っていて、あたたかな匂いがした。 「ありがと。……あれ、これ、もしかして朝からやってくれたの?」 マユミはちょっとだけ頷いて、コーヒーの湯気越しにヒロを見た。 「うん、だって、今日ちょっと…