文庫本、真夏の死の巻末に、三島由紀夫が「雨の中の噴水」の解説で次のように書いています。 「雨の中の噴水」(1963年)の少年少女は、これとはちがってごくふつうの少年少女である。私にはこういう可愛らしく見えるコントに対する好みがあり、そしていつもこの種のものの私の理想は、リラダンのあの意地悪な「ヴィニジニーとポール」なのだ。 三島の理想とな。それならば読んでみますか、と図書館で借りてきましたよ、オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン。 リラダンは19世紀後半に活動したフランスの作家。ナポレオン三世の第二帝政が終わり、第三共和政の頃です。 書名が残酷物語とありまずが、グロな残酷さではなく、運命的な残…