公開された時に見ようかと思って悩んだ挙句、結局見なかった『アフター・ヤン』を見た。 www.after-yang.jp というかコゴナダ監督は、『コロンバス』を撮った人だったのか。気づかなかった。 世界の片隅の、日陰の、親密な空間を思わせる淡色と薄明の世界観は、コゴナダに独特のものだ。その洗練ぶりは、テレンス・マリックの『ソング・トゥ・ソング』のような色彩感と寂寥感がある。あの映画、好きな人は少ないような気もするけど、私はなぜか好きだ。 『アフター・ヤン』の場合、この薄明の世界観は、人工的かつ有機的な、ありていにいえばMUJI的な生活空間が近未来の日常として構成される。これはリアルな近未来の生…