つまり、人間には「統治する側」と「統治される側」があるが、日本文学の系譜において、森鴎外側が途切れてしまった。夏目漱石自体は偉いが、漱石の系譜はだんだんと私小説のほうに流れてしまい、結局、太宰治になってしまった。昭和の戦争に至る過程においても、「これでいいのか、アメリカと戦争なんてしたら破産するじゃないか」という発想の文学はなかった。そうして、小説は官僚機構や国家には何の影響力も持たないものになってしまった。 では、家長の意識はどうやったら芽生えるのかというと、やっぱり歴史だ。歴史を学ぶことを通して、家長の意識が高まってくる。(出口治明、猪瀬直樹、中島聡、他『リーダーの教養書』幻冬舎文庫、20…