ティトゥス・ルクレティウス・カルス(ラテン語: Titus Lucretius Carus, 紀元前99年頃 - 紀元前55年)は、共和政ローマ期の詩人・自然哲学者。エピクロスの宇宙論を韻文詩の形式にて解説。説明の付かない自然現象を見て恐怖を感じ、そこに神々の干渉を見ることから人間の不幸が始まったと論じ、死によってすべては消滅するとの「唯物論」的立場から、死後の罰への恐怖から人間を解き放とうとした。主著『事物の本性について』*1で唯物論的自然哲学と無神論を説いた。
上述のように、無論彼は、哲学史上第1級の人物に他ならぬと看做されてもよいが、それ以上に現代にあっては、科学論史上に於いて稀有なる人物として我々にとって、枢要な意味を有する者であると言えるように想われるのである。
*1:我々にとって幸甚なことには、岩波文庫からも邦訳が出ているのである。