以下は、佐藤千登勢著「フランクリン・ローズヴェルト」中公新書を読んだ感想です。 日本人女性の歴史研究者にして米国でPhDを取得した学者による、日本語で書かれた稀なフランクリン・D・ルーズベルト(FDR)の伝記。 FDRの伝記は世界中では数多くありながらなぜ日本では稀なのかというと、もちろん、FDRが第2次大戦を日本と戦ったアメリカの大統領であるからに他ならないだろう。 FDRの幼少期から青年にかけての人生経験が、その後の政治家としての判断や生き方にどのように影響したかということがよくわかり、興味深い。例えば、父を早くに亡くし祖父と母に育てられたこと、学校での貧困者に対する奉仕活動、大学時代に希…