モーツァルトの生きた時代には、まだ音楽家に仕立て職人的な性格が少なからず求められていました。 そしてこの要求に応える形で、セレナード・ディヴェルティメント・カッサシオンといったいわゆる機会音楽、すなわち式典や祝祭・祝宴を彩るための作品を、モーツァルトも残しています。 ここに挙げた三つの楽曲名称に厳密な定義・区別はないようで(少なくともモーツァルトの時代には)、今回ご紹介する「ディヴェルティメント 第15番 変ロ長調 K.287(271H)」にしても、「第2ロドロン・セレナード」と呼ばれることもあり、モーツァルト自身は「カッサシオン」と称しています。 同作品の成立契機は、上に挙げた二番目の名称に…