Robert Bresson (1901-1999) フランスの映画監督。自作を「シネマトグラフ」と呼び、大仰な表現を排したストイックな作風を確立した。
シネマトグラフ覚書―映画監督のノート
ロベール・ブレッソン研究―シネマの否定
ラルジャン [DVD]
ブローニュの森の貴婦人たち [DVD]
ロベール・ブレッソン DVD-BOX 1 (ジャンヌ・ダルクの裁判/湖のランス口/たぶん悪魔が)
ロベール・ブレッソン DVD-BOX 2 (スリ/バルタザールどこへ行く/少女ムシェット)
抵抗-死刑囚は逃げた [DVD]
映画『白夜』は、セーヌ河岸とポンヌフを背景に、偶然出会った若き男女の、恋と愛にうつろう四夜を描くロベール・ブレッソン監督の1971年の作品だ。 1969年製作の『やさしい女』に続きドストエフスキーの短編小説を原作としており、舞台を19世紀ペテルブルクから、現代のパリに移し、ブレッソン独自のミニマリストなスタイルで演出されている。 youtu.be 他のブレッソン作品と同様、俳優はプロではなく素人が起用されている。主人公のジャックを演じたギョーム・デ・フォレは、当時、天体物理学を学ぶ大学生だった(現在は天体物理学者)。下宿人を演じたジャン=モーリス・モノワイエも、現在、哲学者として活躍していると…
あらすじ 女性を頭で思い浮かべては、その内容をテープレコーダーに吹き込んでいる画家のジャック(ギョーム・デ・フォレ)。ある晩、彼はセーヌ川に架かる橋ポンヌフで思い詰めた表情をしている女性マルト(イザベル・ヴェンガルテン)と出会い、お互いのことを語り合う。 感想 「白夜」というタイトルだが、白夜のシーンはなかった、と思う。 夜のシーンは普通に暗いし、昼のシーンは普通に明るい。なんだろう。総じて、なんでもない映画で、この「なんでもなさ」が良い味出してるなぁ、と思った。理屈で考えるとよく分からないシーンもいくつかあった。例えば、主人公のアトリエに、ふらっと立ち寄って、一方的に芸術論を語って帰っていく…
クシシュトフ・キエシロフスキー監督の デカローグ デジタル・リマスター版【上映は𝟏𝟐/𝟐𝟔迄】 🎉さらに延長決定🎉20日(金)以降は🎦𝟏𝟎:𝟓𝟎〜/𝟏𝟖:𝟒𝟓〜 2回上映となります。【上映は𝟏𝟐/𝟐𝟔迄】これで最後の上映となります。キェシロフスキの傑作を、ぜひ劇場でご鑑賞ください。どうぞお見逃しなく!✧✧𝑩𝒖𝒏𝒌𝒂𝒎𝒖𝒓𝒂ル・シネマ 渋谷宮下✧✧【 ✛ 絶賛上映中 ✛ 】 pic.twitter.com/Hlhh1bmG8I — 映画『デカローグ』デジタル・リマスター版 【12/6〜スクリーンに復活】 (@dekalog2021) 2024年12月17日 延長ありがとうございます。年末進行だか…
今年はインボイスと電帳法対応が忙しくて全然観られませんでした…。 1・セルジオ・レオーネ『ウエスタン(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト)』(1968、伊・米) 2・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第一部 なみのおと』(2011、日) 3・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第二部 なみのこえ 気仙沼』(2013、日) 4・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第二部 なみのこえ 新地町』(2013、日) 5・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第三部 うたうひと』(2013、日) 6・ロベール・ブレッソン『ジャンヌ・ダルク裁判』(1962、仏) 7・シアン・ヘダー『CO…
メルヴィルとブレッソン、同じ匂いはするが似て非なる別物 こう書くと誤解がありそうだが、個人的には双方とも最愛の映画作家。事実、メルヴィルとブレッソンはよく比較され、「海の沈黙」と「抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-」は、第1回岩波ホールセレクションにて上映された。そして、今回の記事の目的は、唯一日本語版の全作品を所持している(VHSを除く)映画作家なのに、未ソフト化の作品を渇望しているので、啓蒙活動としたい【永久保存版】。 目次 【メルヴィルvsブレッソン】価値観の形成について 【メルヴィルvsブレッソン】2人の違いと共通点について 【メルヴィルvsブレッソン】デビュー作比較 【メルヴィ…
1944年ロベール・ブレッソン監督。 18世紀フランスの哲学者ドゥニ・ディドロによる小説「運命論者ジャックとその主人」が原作。ブレッソンが脚色し、ジャン・コクトーがセリフ監修とのこと。 男が女のいうことを額面通りに解釈する悲劇が面白いドラマ仕立てになっているように感じる。 男性の振る舞いが鈍感すぎて女の復讐してやるという気持ちには大いに共感するのだが、そのやり方が。。女にも半ばマゾヒスティックな部分があるのかな。ブレッソン、「ラルジャン」*1を観た時も結論の不条理、だけどそこまでの話法のうまさに惹きつけられたが、この作品にもそれを感じた。 財力にものを言わせて、踊り子をしている没落した家の娘を…
映画『やまぶき』山﨑樹一郎監督最新作 エドワード・ヤンの「恐怖分子」(’86)だ、と本編が始まってからずっとあの映画を想起してみていた。一見関係のない人間関係がある偶然によって繋がって行く。 正社員に、と吉報を貰った砕石工場職員チャンス(カン・ユンス)がさる不運に見舞われ、犯罪に手を染めるのはブレッソン「ラルジャン」('83)も思わせる。 ラルジャン ≪スペシャル・プライス≫【Blu-ray】 [ クリスチャン・パティ ]価格: 1650 円楽天で詳細を見る チャンス、シニカルな役名だ。 「ここではないどこか」へ向かう人々ではなく「どこかから来て(仕方なく)ここにいる」人々。 16㎜フィルム、…
ロベール・ブレッソンはプロの俳優をキャスティングせず素人を起用することが多いのはよく知られた話である。『たぶん悪魔が』に登場する若者たちも非職業俳優であり、その無表情な顔や自然体というよりはなかばぞんざいなふるまいが五月革命以後のパリの空気感、閉塞感を纏っているかのようにスタンダード・サイズの乾いた画面に映っている。そのような有り様が自殺願望に取り憑かれる美青年シャルルを筆頭に、虚無感に苛まれ無気力に生きるしかない登場人物たちの役柄にまさしく適している。ゴダールがそうであるようにブレッソンも音声の処理に多大な注意を払い、映像のみならず映画における音声の存在を重要視している。助監督を務めた人の話…
ロベール・ブレッソン監督による1977年作『たぶん悪魔が』について。ロマン主義的に絶望の中から美を求める主人公が、非人間的な手続きで組み上げられた社会に回収されていく映画として。そして、ブレッソンの映画はその方法によってその社会への抵抗となっているのではないか。 あらすじ 3人の男に表される現代的な精神崩壊の過程 非現実への浮遊 / 主人公の求める美 人間性の剥奪された手作業 / 手続き ロベール・ブレッソンにおける手作業 作品詳細 関連記事 あらすじ 裕福な家柄の出でありながら自殺願望に取り憑かれている美しい青年シャルルは、政治集会や教会の討論会に顔を出しても違和感を抱くだけで何も解決しない…
ロベール・ブレッソン監督による1974年作『湖のランスロ』について。近代化していく社会が破滅する映画であると同時に、近代化し切った社会が破滅する映画でもあるという二重構造となっている。その二つが音によって組み立てられ響き合うようになっている。 www.youtube.com あらすじ 音の対比 行き場のない近代社会の破滅 近代化していく社会の破滅 感想 / レビュー / その他 作品詳細 関連記事 あらすじ 城に帰還したものの、聖杯探しに失敗し多くの戦死者を出したアルテュス王の円卓の騎士たち。その中のひとり、ランスロは王妃グニエーヴルとの道ならぬ恋に苦悩していた。神に不倫をやめると誓うランスロ…