列車は全席指定で、行先(区間)別に箱根方面への「はこね」、「スーパーはこね」、小田原止まりの「さがみ」、江ノ島線方面への「えのしま」、JR御殿場線直通の「あさぎり」、及び夕方以降のビジネス特急「ホームウェイ」がある。
2008年から東京メトロ千代田線・有楽町線直通の「メトロはこね」、「メトロホームウェイ」「メトロさがみ」、「ベイリゾート」が加わる。
ゆったり座って新宿から箱根湯本まで約85分。北千住から箱根湯本まで約120分。だいたい特急料金は運賃と同じくらい。
原則として全車・全席指定制を取っており、指定券なしでロマンスカーに乗車した場合は正規の特急料金+ペナルティとして別途300円(東京メトロにまたがる場合は400円)を徴収され、かつ座席の指定もされない。なお、箱根湯本行きロマンスカーについては小田原から箱根登山鉄道線内のみ利用する場合に限り別途「座席券」(200円)を購入(ロマンスカー発車ホームで駅員が手売りしている)することで乗車できる。
中国語表記は「浪漫特快」。
現在、一般に「ロマンスカー」と言えば、小田急電鉄の特急列車のことを指すが、広義の「ロマンスカー」については下記を参照。
SEはSuper Expressの略。
初代ロマンスカーと言われるSE車は、流線型の外観を持ち、低重心化のため客室の床面がデッキよりも低い構造で1車両の長さを短目にして車両と車両の間に台車を設ける「連接台車」という手法で狭隘路線での高速化を図った、斬新な車両。登場時は10両固定編成だったがのちに御殿場線直通の連絡急行「あさぎり」での運用に際して5両編成に改造され*1、小田急線内では時々2編成連結した10連での運用も行なわれた。
当時国鉄の新幹線計画において高速走行実験で借り出され、静岡県の東海道本線上におけるテスト走行で狭軌鉄道の最高速度記録(時速145キロ)をたたき出したことで知られる。
「あさぎり」の特急化直前1991年3月15日まで頑張って引退した。
NSEはNew Super Expressの略。
「小田急ロマンスカー」のイメージを最も明確に印象付けた車両。11両固定編成。
先頭車両は運転席を2階に上げ1階席を前面展望構造としたパノラマデザインはリゾート特急としてのロマンスカーを最も体で表している。この構造は10000形HiSE車まで続き、その後の新車で一時期違う構造となったものの、2005年に登場したばかりの50000形VSE車で復活した。
老朽化に伴い2000年のイベント専用改造された編成「ゆめ70」の引退をもって全車廃車。
LSEはLuxury Super Express、HiSEはHi-decker Super Expressの略。
NSE車の後継車両。11両固定編成。LSEは登場時SE/NSE車と同じ塗色で登場、のちにHiSE車と同じ赤白の塗色に更新された。
NSE車と違う点は客室の床面がデッキとフラットになり、さらにHiSE車では展望部を除く一般客室の天井高が高く取られ大型窓を備えたハイデッカー構造となり、従前の低重心構造特有の圧迫感が払拭された。
現在「えのしま」「さがみ」「はこね」「ホームウェイ」を中心に使用されている。
2005年より配備が始まったVSE車の配備状況に応じて今後順次バトンタッチ引退、HiSE車は2012年3月16日をもって全車退役。
なお、HiSE車の一部は長野電鉄に無償譲渡され、長野ー湯田中間の有料特急「ゆけむり」として引き続き活躍している。
RSEはResort Super Expressの略。
それまでのロマンスカーのイメージをあまり踏襲しなかった奇異な存在。
老朽化したSE車の置き換えとして「あさぎり」用にJR東海と共同開発され、JR東海371系電車と基本構造及び運転装置類が共通設計された。これは従来SE車の「あさぎり」が終点御殿場までの御殿場線内も小田急の乗務員が越境乗務する形を取っていたものが、特急格上げに伴い沼津まで区間延長され境界の松田駅で乗務員交代するようになったことで、乗務員が両社の車両を違和感なく取り扱うことが出来るようにする配慮による。
ロマンスカーの伝統だった連接台車構造から一般的なボギー台車構造に変わり、中間に2階建てグリーン車*22両を配した20m車7両編成。運転席こそ2階建てにならなかったものの先頭の低い位置に配置され、ハイデッカー構造の客室からの前面展望が確保されている点だけは守った。塗色はスカイブルーという点も赤いLSE/HiSEから異なる。NSE車はグリーン車の1Fがセミコンパートメント席になっているのがJR371系と差別化されている点。
「あさぎり」以外にも「はこね」「スーパーはこね」に使用されている。
2012年3月16日をもって「あさぎり」全列車が後述のMSE(60000形)に統一されるのを機に全車退役。
時代の変遷とともにリゾート特急だけで稼げなくなってきた小田急ロマンスカーに車両の変遷をもたらした車両。というより、「ロマンスカーではないロマンスカー」。
ビジネス特急としての側面を持ち始めていたロマンスカーにふさわしく多様な運用が実現できるよう、6+4両の編成組替えが可能な20m車10両編成となった。そのため前面展望が犠牲となってしまい、「ロマンスカーといえば展望席」というイメージを大いに裏切った。展望が豪華ではない分外見だけでも豪華なようにシャンパンゴールドの塗色を纏っているとも揶揄されている。
しかし分割併合が出来ることから多客時・閑散時に最適化した輸送が出来ること、床下機器の簡素化や折り返し時に運転台から電動でシートの向きを一括転換できるなど省力化が図られていることから、最も時代に即した特急車両と言えるかもしれない。
デビュー時から「サポート」*3「ホームウェイ」などの停車駅の多い短距離間アクセス特急を中心に運用され、多摩線を含めた全線で活用されている。
EXEにはExelent, Executiveなどの意味がこめられているが、唯一「Super Express」の名が冠されなかった点からも異端児ながら、3100系の廃車置き換えで大量配備された多数派。
なお、小田急ロマンスカーの中で唯一鉄道友の会ブルーリボン賞の受賞を逸している。
Vault Super Express。
復活のロマンスカー。2005年登場。10両固定編成。
かつてのロマンスカーで伝統だった連接台車構造・2階建て運転室・先頭展望席・オルゴールを復活。「リゾート特急としてのロマンスカー」はやはりこうでなくっちゃ、というスタイル。原点回帰を意味する白いボディに赤いラインを纏っている。
インテリア空間拡大のため1車両辺りの車体長が長くとられたため、NSE〜HiSEまでの11両編成から10両編成に変わっている。
現在2編成のみで「スーパーはこね」「はこね」に使用されている。3編成目までの投入が計画されており、それでLSE編成を置き換える予定。
Multi Super Express。2008年登場のロマンスカー。ボギー車6両/4両編成。
東京地下鉄に乗り入れ可能な設計になっていることが特徴で、VSEにある難燃木材は使用されないなど、徹底的に火災対策に努めている。6両編成の小田原方と4両編成の新宿方はVSEに準じた流線型だが、その他の方向の先頭車両は分割・併合対応型となる。塗装は、全体に「フェルメール・ブルー」を配色し、小田急ロマンスカー伝統の「バーミリオン・オレンジ」の帯をまとう。当初、運用は、平日は夕方から夜間の帰宅時間帯に千代田線の北千住駅から小田急小田原線町田駅・相模大野駅方面に6両編成にて運行し、土曜・休日は10両編成で新宿駅〜箱根湯本駅・片瀬江ノ島駅間に運行する計画となっていた。また、千代田線内の始終着は北千住と大手町のいずれかとなっているが、当初の発表段階では湯島駅始発が考えられていた。車両デザインはVSEに引き続き、建築家・岡部憲明が担当する。
広義の「ロマンスカー」は、「男女2人が横に並んで前向きに座れる座席を備えた電車」、即ち、転換(または回転)クロスシートを備えた電車全般を意味することがある。
会社や時代により、「ロマンスカー」を名乗った列車が存在する。
「ロマンスカー」の愛称は、1927年に京阪電気鉄道が使用したのが最初とされている。