小田 実(1932 - 2007)『「べ平連」・回顧録でない回顧』(第三書館、1995)より無断で切取り。 世界中どこへでも、だれが相手でも、容赦なく自分を押出してゆける人とは、なるほどかような人のことか。それが感触・印象のすべてだった。 一度だけ小一時間ほど、小田実という人と同席したことがある。「野間宏の会」だった。他界した戦後文学の巨人を偲び、業績を研究したり資料を整理したり、遺徳や逸話を語り合ったりする、関係者や研究者や愛読者の集りだ。藤原書店の肝煎りで年一回の総会が催されていた。私は一番隅っこの会員だった。 毎年の総会では、研究者による新研究報告やゲストによる講演といったプログラムが組…