息子が、社会人となり、働いて久しい。今年は、彼から蟹が届いた。毎年届くわけではない。気まぐれな贈り物である。 蟹は、うちの家族は大好き。20年以上前に、北海道に出かけ、蟹を現地で購入して、ひとりひとつお皿に並べたときは、満面の笑顔で、無口になって食べる幼児であった。 蟹を食べると、話は弾まない。 蟹に集中したい。 ゴミは臭い。いつ食べるかという選択は大きな問題。 ゴハンも進まない。最後に蟹雑炊にするくらいの、残りごはんがあるときが良い。 てなわけで、無言で、ひとりひとり思うまま、食べていた。 家族三人三様、一人は甲羅に酒を注ぎ味噌を入れて焼く。ご飯のともにしたらしい。 一人は、蟹のガラを煮出し…