新緑の季節が今盛りである。花より何より四季を通じて自然と言えばこの時期の新緑に尽きる。みずみずしく清々しく明るく眩しく優しい。この歳になっても、この新緑の時期が訪うと、頑張って生きようという気になる。 ただ、都会には深い山が無い。目に映る新緑も人工的である。何より人々の生活感に乏しい。山里に生まれ育った身にしてみればやや不満である。にしても、この時期の新緑に優る自然からの贈り物は筆者には断じて無いのである。 ざぶざぶと 白壁洗ふ 若葉かな (一茶) 我が故郷、佐伯地方の自然をこよなく愛した国木田独歩なら言うかもしれない。自然に対してそういう向き合い方は良くない。自然とは人間に生きる意味を教えて…