ラファエロ作『キリストの埋葬』 Ⅳ 母の嘆き 「キリストの埋葬(ボルゲーゼの十字架降下)」 この作品が生まれる背景についての情報は、唯一、ヴァザーリからもたらされる。しかし、ご存知の通り、彼の語ることはいつも信用できるわけではない。彼によると、ラファエッロに依頼するのはアタランタ・パリオーニだったようだ。長年にわたってペルージャの町を血に染めていた内戦の犠牲者、息子のグリフォネットの思い出を卓越した絵の中に永遠に残したい、そして、それができるのは、ラファエッロただ一人だと、彼女は信じていたからだ。息子の非業の死から7年も経ってから母親が追悼しようとするなどありえないと、考える者もいるが、息子の…