平野啓一郎氏の最新作「本心」を読み終わった。氏の作品を読むのは、これが6冊目になる。最初に手に取ったのは、「マチネの終わりに」だった。そして、平野氏が23歳の時に芥川賞を取ったことを知って、その受賞作「日蝕」を読んでみた。「一月物語」も同じ本に入っていたので、その作品も同時に読んだ。次に「ある男」に行って、それから「葬送」へと進む。そして、今回の「本心」だ。作品を時系列で見れば、バラバラな読み方をしている。実は「葬送」は、氏が27歳の時に書かれたもので、およそ20年前の作品になるのだ。「マチネの終わりに」や「ある男」は、ここ数年の小説になる。「葬送」の重厚さと話の長さは、19世紀の小説を思い起…