『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』2009年10月10日公開。東宝配給。 愛など信じたら、すべてが消えてしまうと、男は恐れている。 すべてを失った後に、残るのが愛だと、女は知っている。 監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造 原作:太宰治 出演:松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一
リスト::日本の映画::題名::あ行
太宰治の作。初出:昭和22年3月「展望」
『一寸の仕合わせには一尺の魔物が必ずくっついてまいります。人間三百六十五日、何の心配もない日が、一日、いや半日あったら、それは仕合わせな人間です。 太宰治』 ヴィヨンの妻(新潮社)からの一節です。 仕合わせ(幸せ)と魔物はセットなのだと、このフレーズでは述べています。 このバランスだと、10倍も魔物が大きい計算になりますね。 幸せでさえ心配のタネになるという、人間の心理を巧みに描写しているように感じられます。 実際には、何も無いという日は、無いのでしょうから、いつも魔物との戦いに明け暮れているのかも知れませんね。 「好事魔多し」などとも言いますが、何事も無いと言うより、何事かはあるというのが、…
昨日、本屋で買った太宰治のヴィヨンの妻を読んでいる。
ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜 - YouTube 文章を書くのが苦手なので 校正を何度もしています。 🟦 何て言うか人生は 親が教えてくれた 微妙なさじ加減で あっちへ行ったり また戻ったり 決まるかと思えば また、フラフラと 動き出したりする。 そして それがまた 他人を押し退けたり 突き落とすと思うと 世の中、本当に 楽しいことなんか 無いんだと気づく。 だから 自分の家族の 幸せのためだけに ただ生きていれば 良いんだと思う。 🟧 誰もが理想の 父親、母親 というのがあって そうなりたいけど まだ元気なうちは 家族に甘えて 自分のことしか 見ようとしない。 死んでやっと その存在の大…
今年も桜桃忌の季節を迎えました。 最近は梅雨寒で気温も下がり、ぐずついた天気が多かったと思います。しかし今年の桜桃忌は日曜日に当たり、快晴でした。太宰治と、生家津島家の墓がある禅林寺には大勢の参拝者が訪れておりました。 --------------------- こんにちは、中嶋でございます。 本日は6月19日。太宰治の誕生日にして、山崎富江と入水自殺した玉川上水から太宰・山崎両名の遺体が上がった日です。 芥川龍之介の命日は河童忌、森鴎外の命日は鴎外忌と呼ばれていますが、太宰治の場合は誕生日でありながら遺体発見日でもあった事から、敢えてこの日を太宰の法要日にしています。 「桜桃忌」の由来は晩年…
2022年は、太宰治 没後74年。 今日6月19日は、74回目の桜桃忌です。 桜桃忌は、太宰が死の直前に執筆した短篇『桜桃』にちなみ、太宰と同郷で交流のあった作家・今官一(こんかんいち)によって名付けられました。 今回は、桜桃忌の由来となった短篇『桜桃』の「初出誌(しょしゅつし)」をわが家にお迎えする事ができたので、皆さんと一緒に初出誌で『桜桃』を読んでいきたいと思います。 ちなみに、「初出誌」とは、作家が初めて世に出す、活字になったものを言います。最近では、単行本の最初の版にあたる「初版本(しょはんぼん」が人気ですが、単行本として出版される前に、先に雑誌に掲載されているケースも多く、この雑誌…
一条真也です。日本映画「峠 最後のサムライ」をシネプレックス小倉で観ました。累計発行部数386万部超の司馬遼太郎の小説『峠』初の映画化です。コロナ禍によって何度も公開が延期された作品ですが、残念ながら映画は原作の良さがまったく出ていない駄作でした。主人公の河井継之助は、陽明学者として「志」についての素晴らしい思想の持ち主でした。もっと、そのへんを描いてほしかったです。 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。「『蜩ノ記』などの小泉堯史が司馬遼太郎の『峠』を映画化した時代劇。越後長岡藩の筆頭家老である主人公が激動の時代を生きた姿を、スクリーンに焼き付ける。主人公を数々の主演作を誇る役所広司…
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 作者:又吉 直樹 幻冬舎 Amazon ピース又吉といえば、芸人で初めて芥川賞を受賞した作家だ。又吉直樹が芥川賞を受賞した時はちょうど本屋で働いていたのだけれど、『火花』の売り上げは本当に凄かった。在庫がなくて入荷まちのこともしばしばあった。 『火花』以外にも、小説でいえば『劇場』とかが面白い。小説以外にも又吉直樹はエッセイを書いている。 僕が特に好きなのは『第二図書係補佐』だ。作家だけではなく、読書家としても知られている又吉直樹が小説を紹介したブックガイドのような本だ。本の紹介とその本にまつわる又吉のエッセイが書かれていて、そのエッセイがすこぶる面白い…
夜中に目が覚めたとき、枕元のスマホから朗読の声が流れていました。 しかし、これは寝るとき選んだ本ではありません。いつものように、スマホが勝手に選んだものです。 登場人物の名前は違いますが、この話はどこかで聞いたことがある内容です。 日露戦争当時の仙台が舞台で、そこに登場する清国からの留学生は、明らかに魯迅です。 スマホの画面には、太宰治作「惜別」とあります。 太宰がこんな小説を書くとは、大変な驚きです。 https://www.youtube.com/watch?v=B5qmZ5iYGAY 太宰治の人間像は、その小説を読めば読むほど、否、聴けば聴くほど「ヴィヨンの妻」の夫のイメージから遠く離れ…
English follows Japanese.【PDCA日記 Vol. 1,028「レンタル社会の到来」】 一時期、「おっさんレンタル」というサービスが話題になりました。 人生経験が豊富なおじさんをレンタルするサービスで、利用者が結構多いようです。 このビジネスのポイントは、登録されているおじさんがお金を払っている点です(もちろん利用者も払いますが😊。 これによって、変な目的で登録するおじさんを排除し、サービスの質を維持できているそうです。 今回紹介する資料「「おっさんレンタル」日記」は、「おっさんレンタル」の極意を読みとくことができる面白い本です。 オンライン関連でビジネスを始めたい方に…
今週のエッセイ ◆『如是我聞(にょぜがもん)(三)』 1948年(昭和23年)、太宰治 39歳。 1948年(昭和23年)5月12日から14日までの間に脱稿。 『如是我聞(三)』は、1948年(昭和23年)6月1日発行の「新潮」第四十五年第六号に掲載された。 「如是我聞(三)」 謀叛(むほん)という言葉がある。また、官軍、賊軍という言葉もある。外国には、それとぴったり合うような感じの言葉が、あまり使用せられていないように思われる。裏切り、クーデタ、そんな言葉が主として使用せられているように思われる。「ご謀叛でござる。ご謀叛でござる。」などと騒ぎまわるのは、日本の本能寺あたりにだけあるように思わ…
科捜研の女 Season17 第17話科捜研の女 Season21 第18話 きょう4月28日は、宮地雅子(みやじ まさこ)さんの誕生日です。1966年生まれの56歳になりました。おめでとうございます。東京都出身。日本大学芸術学部演劇学科演技コース卒業。1988年~1994年まで東京サンシャインボーイズに所属。現在はケイファクトリー所属。 宮地雅子さんの映画出演作は、 1994.03.05『我が人生最悪の時 THE MOST TERRIBLE TIME IN MY LIFE』(1994:林海象)、 1995.03.18『遥かな時代の階段を The Stairway to the Distant…
今週のエッセイ ◆『如是我聞(にょぜがもん)(ニ)』 1948年(昭和23年)、太宰治 39歳。 1948年(昭和23年)4月6日に脱稿。 『如是我聞(ニ)』は、1948年(昭和23年)5月1日発行の「新潮」第四十五年第五号に掲載された。 「如是我聞(ニ)」 彼らは言ふのみにて行はぬなり。また重き荷を括(くく)りて人の肩にのせ、己は指にて之(これ)を動かさんともせず。凡(かつ)てその所作(しわざ)は人に見られん為にするなり、即ちその経札(きょうふだ)を幅ひろくし、衣(ころも)の総(ふさ)を大きくし、饗宴(ふるまい)の上席、会堂の上座、市場にての敬礼、また人にラビと呼ばるることを好む。されど汝ら…
◆基本情報・利用案内◆蔵書検索・ネット予約等は「リンク」からアクセスできます。 4月当初から「エッグハント」という企画を続けています。 今日土曜と明日日曜は、実際に「エッグ」を作ってみようということで、カウンター前で実施しています。 さっそく来てくれた子の様子を… 楽しく、作業できたようですね。 少人数で行う準備をしています。感染防止に気をつけながら、簡単にできますよ。 いかがですか。 ちなみに、4月16日は「康成忌」(ノーベル賞作家川端康成の命日)ですね。 もちろん、文豪ですので多数の蔵書が本館にもあります。 例えば、この「大活字本」などは親しみやすいはずです。 川端 康成∥著 埼玉福祉会2…
この本は、京大院生でもある天狼院書店のスタッフが、「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本について書店のWebサイトに掲載した選書リストを基に編集されたブックガイドです。 オースティンの『高慢と偏見』、サリンジャーの『フラニーとズーイ』に始まり、太宰は『ヴィヨンの妻』、川端は『眠れる美女』を選ぶという偏向ぶり、最後は漱石の『こころ』からイシグロの『わたしを離さないで』へと至る怒涛のラインナップで、私は半分近く沼落ちした記憶があるので、読みながら一人で盛り上がっていました。 選書センスもさることながら、共感したのは序文です。 「本を本気で好きになったら、バカな男に引っかかったバカな女にな…
最近なかなか難しい本を読む時間が取れないので、KindleUnlimitedでいろいろ学習漫画を読んでみていました。その記録です。 春原弥生・佐々木隆宏『マンガでおさらい中学数学』 川畑智・遠藤英俊・浅田アーサー『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』 夏目漱石・高橋ユキ『こころ』 太宰治・さちみりほ『ヴィヨンの妻』 中村ユキ『マンガでわかる! 統合失調症』 ぬまがさワタリ『ぬまがさワタリのゆかいないきもの(秘)図鑑』 ぬまがさワタリ『図解 なんかへんな生きもの』 おがたちえ『「まだ元気!」なあなたのための終活のはじめかた』 デアゴスティーニ編集部『そーなんだ! おもしろテーマシリーズ な…
「子供への性的侵害(セクシャルハラスメント)」という言葉が浮かぶ表現が、最近みた映像のなかでいくつかあった。 きっと筆者のように幼児期から父親から性被害に遭いそのことがトラウマ *1にでもなっていなければ、何も感じずにスルーしていたかもしれないような場面もある。 しかし、子供を性的に侵害しているということにも気づかず、そのような映像を世に広めることは、この世の中ではあまりにも罪深いことだ。 なぜなら、仮に作者に悪意がなくても、現実世界は、家庭内外での児童への性的虐待、痴漢、ワイセツ媒体が蔓延っており、弱者が被害に遭っても「暴力」が証明できなけば加害者の主張が有利、性被害が人の心を一生深く傷つけ…