🌼【源氏物語557 第17帖 絵合10】弘徽殿ではよい小説の内容を絵にさせて帝にお目にかけた。長くは 御前に出しておかずに すぐしまわせてしまうのである。 〜「小説を題にして描いた絵が最もおもしろい」 と言って、 権中納言は選んだよい小説の内容を絵にさせているのである。 一年十二季の絵も平凡でない文学的価値のある詞《ことば》書きをつけて 帝のお目にかけた。 おもしろい物であるがそれは非常に大事な物らしくして、 帝のおいでになっている間にも、 長くは御前へ出して置かずにしまわせてしまうのである。 帝が斎宮の女御に見せたく思召して、 お持ちになろうとするのを弘徽殿の人々は常にはばむのであった。 源…