国立劇場の会員誌「あぜくら」に、68歳の2代目庭師のインタビューが載っていました。開館当初から専属庭師は1人だそうです。国立劇場の建物は正倉院の校倉造りをモチーフとした外壁で、黒松と笹だけの植え込みが塀のない石畳に点在する、当時としては斬新な設計でした。もともとしまいこむための倉のイメージと、感情を解放する劇場の雰囲気とは合わない、と最初は思ったのですが、慣れてくると、皇居の濠に面した風景に収まりがいいのだと思うようになりました。 初めはモノクロの庭だったのに、いつの間にか季節には花見が催されるほど、梅や桜が植え込まれました。庭師の話では、桜は庭の設計を崩すと考えて、持ち込まれる植樹話を固く断…