日の丸太郎:三宅青軒2 1908年(明41)大学館刊。前後全2巻。 副題に「豪傑小説」と銘打った明治の壮士が活躍する話。東京二六新聞に連載。主人公の日の丸太郎という名前からしてお伽話めいているのだが、いきなり上野の花見の場に現れて国粋論を演説する。彼は気迫と胆力で他を圧倒するが、その狙いとするのが外国文化からの影響の排除と古来の日本人の大和魂の称揚だという。この大和魂の概念がなかなか漠然としていて今となってはわかりにくい。 当時の内閣批判やら日清協力による列強との対峙策など、小説に時事問題を織り込んだ作者の放談になっていた。また江戸から明治まで続いた吉原などの性風俗の詳述もある。言いたい放題の…