登山は通常山頂を目指すものだ。暗い谷から登り始めて斜面を高まいて尾根に登りつくこともあれば、最初から明瞭な尾根筋を捉えてそれを登ることもあるだろう。どんな山にも必ず一つは厳しい箇所が出てくる。鎖、三点確保、技術的に緊張を強いられる場所もある。そんな心のなかで警報が鳴るような場所もあればひたすら心臓と大腿四頭筋に負荷を与える箇所もある。鼻歌交じりで歩ける場所はさほどない。さような苦労の末に山頂はある。 それを目的としない山歩きは考えたこともなかった。が、あり得るのだった。それは山小屋を目指すものだった。山は基本テントだ、そう山を始めた頃から思っていたので避難小屋以外は山小屋に泊まったことはあまり…