ヨーゼフ・ヴァイグル(1766~1846) 旅で成長したベートーヴェン 1796年夏、5ヵ月にわたり、プラハからベルリンに至る生涯で最初で最後の大旅行からウィーンに戻ってきた25歳のベートーヴェン。 友人たちの目には、ひと回りもふた回りも大人になり、自信に満ち溢れて見えたといいます。 モーツァルトの〝旅は人を成長させる〟という信念の通りです。 そして、ますます盛んに作曲活動と演奏活動に打ち込みます。 この時期の作品は〝サロン向けの軽いもの〟と見なされがちですが、決してさにあらず。 確かに後年のベートーヴェンの作品と比べるとそんな印象も受けますが、常に保守層を驚かせ、眉を顰めさせてきた、野心作ば…