●歌は、「ますらをのさつ矢手挟み立ち向ひ射る円方はみるにさやけし」(舎人娘子)と 「円方の港の洲鳥波立てや妻呼び立てて辺に近づくも」(作者未詳)の二つである。 三重県松阪市東黒部町 阿弥陀寺万葉歌碑(舎人娘子、作者未詳) ●歌碑は、三重県松阪市東黒部町 阿弥陀寺にある。 舎人娘子の歌をみていこう。 ◆大夫之 得物矢手挿 立向 射流圓方波 見尓清潔之 (舎人娘子 巻一 六一) ≪書き下し≫ますらをのさつ矢手挟(てばさ)み立ち向ひ射る円方(まとかた)は見るにさやけし (訳)ますらおが、さつ矢を手挟んで、立ち向かいさかんに射貫(いぬ)く的(まと)、その名の円方(まとかた)の浜は、見るからにすがすがし…