農は3つの顔を持っている。食料生産だけが農の顔ではない。 農産物生産が農業の表面だとしたら、その側面には農民とその家族 (あるいは従業員) という主体者がいて、その主体者が担う農山村という地域 (社会と環境) がある。 唐突だが、一つ喩えを試みる。仏教に阿修羅という守護神がいる。阿修羅像は3つの顔を持ち、6本の手を備えている。本来の農とは、農産物生産 (業) を行いながら、家族と周辺の人々 (人) のくらしを支え、協同して地域社会を担い環境を守る (地域)、という3つの顔を持っていて、阿修羅が6本の手を持っているがごとく多機能な存在なのだ。 戦闘を担う鬼「阿修羅」は、農を喩えるのにふさわしくな…