2004年発表の本書は、法人類学者エミリー・クレイグ博士の経験を綴ったノンフィクション。「死体は語る」の上野正彦氏が推薦している書だ。クレイグ博士はもともとは医療イラストレータ、検視解剖の現場で助手的な役割をしているうちに法人類学の道を目指し、中年になって博士号を得て大量殺人や大規模災害などの現場に立つようになる。 本書のハイライトは、9・11テロ。3,000人を上回る犠牲者が出て<グラウンド・ゼロ>からは、 ・飛行機で突入した際にクラッシュした死体 ・ビルの火災によって焼死した死体 ・ビルの倒壊に巻き込まれた死体 などが続々回収されてくる。これを検視するのだが、骨片や肉片となっている遺体も多…