「下請け企業を扱った作品」の第五弾は、北沢 栄『町工場からの宣戦布告』(産学社2013年)。モノづくりの集積地である東大阪市が舞台。小さな電機部品メーカー「ダイア産業」(従業員70名)を営んでいる湊京太。創業50周年の節目の年、親会社やメインバンクからの無理難題の要求を受けながらも、経営の自立性を損なわず、事業をつなげていく主人公の姿が描かれています。中小企業経営者の試練と克服への道が示されています。 [おもしろさ] 「中小企業が資金繰りに苦しむのは当たり前」 本書の最大の特色は、中小企業経営者の苦悩と真正面から向き合い、あるべき道を模索している点にあります。興味深いのは、メインバンク(いなほ…