あとがきについて 『白鳥と紫式部』巻末に、白川先生のあとがきがあります。先生は大学生の頃、京都の寺町二条に住んでいたとのことです。はるか昔のものと、今のものが混在する京都が、本作のテーマだったとのことでした。本作を読み終わっての印象は、京都弁が生き生きとした作品だったなという感じです。セリフが、時に色っぽく、時にすがすがしく、鹿乃と良鷹の掛け合いに、心が和みました。特に、良鷹が感情的になって、慧の背中を押す場面でのセルフが、強烈に響いてくる感じです。私は関東生まれの関東育ちなので、いざという時の京都弁の迫力に圧倒されてしまいました。良鷹の言いようのない感情が、そのまま、物語の意思を受けついで、…