1905年発表の本書は、以前<ブラウン神父もの>や「知りすぎた男」を紹介したG・K・チェスタトン初期の短編集。全く新しいビジネスを創造することで入会できる<奇商クラブ>についての短編6編と、短編「背信の塔」中編「驕りの樹」が収められている。<奇商クラブ>に登場するのは、英国でも一二を争う優秀な判事だったバジル・グラントが、突然法廷内で発狂し隠退した後の物語である。 グラントはブラウン神父ほどの愛らしさはないが、分けのわからないことを並べ立てる点では同じ。わたしことスウィンバーン氏は、元判事に事件に付き合わされて閉口している。全く新しいビジネスというのが曲者で、他者の模倣や改良であってはならない…