本全集は、志賀直哉・佐藤春夫・川端康成・小林秀雄という錚々たる文筆家の監修の下、1950年代終わりから60年代初めにかけて修道社より出版されたものだが、売れ行きが思わしくなくすぐ絶版となったのか、出版社自体がなくなってしまったのか、ともかく一度巷から姿を消してしまった。 しかし、1979年、新たに井上靖が監修者として加わり、ほるぷ出版から再刊、この際、内容は基本的に前版が踏襲されたようで、ほとんど異同はないと思われる。 監修者のみならず、執筆者にもまた、各界の著名人がことごとく名を連ねており、日本人が海外へ恒常的に出かけ始めた時代の感性や精神が多様な形で記録されている、極めて貴重な書であること…