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世界革命

(社会)
せかいかくめい

一国社会主義(一国社会主義論)の対義語。
主に、トロツキーの思想について用いられる語で、永久革命(永続革命)とか世界永久革命とも言われる*1
なお、いわゆる「世界同時革命」とは異なる、というか全くの別物である(後述)。

概略

マルクスの史的唯物論に拠れば、歴史とは生産力の発展と従来の所有関係との間の矛盾を止揚することで進展する。究極の生産システムたる資本主義の出現は、資本家と労働者の対立を生み出し、その止揚は共産主義革命で、それによって共産主義社会*2が生み出されるはずだった。
この段階では「万国の労働者よ団結せよ」という言葉に端的に示されるように、(無意識にせよ有意識にせよ)資本主義世界全体での革命が前提されていた。
現実に革命が起きたのは後発資本主義国であるロシアにおいてだった。第一次世界大戦はなるほど帝国主義の矛盾を遠因とする資本主義社会の一大危機だったかもしれぬが*3、現実に起きたのは独墺露土といった諸帝国の崩壊であった。水兵の反乱が帝国崩壊の端緒となったドイツにおいてすら労働者革命は起きなかった*4。戦争による疲弊が限界に達したフランスでも革命は起きなかった。
さて、こうして世界情勢が一段落すると、ロシア革命とソヴィエト連邦が何者かを理論づける必要が出てきた。
スターリンやブハーリンらが唱えた(そして後に主流となった)のは「一国社会主義論」とも呼ばれる考えで、大雑把に言うと「とりあえずこうして『労働者の祖国』が誕生したからにはここを基盤に社会主義を建設しよう。頑張っていればそのうち他所でも革命は起きる(起こせる)でしょう」というものだった。


一方トロツキーらはより国際主義的な主張を行った。世界規模での革命なくしては社会主義は生き残れない、というものである。これは資本主義国が革命を妨害するために軍事的・政治的な攻撃を加えてくるからとかそういうことだけでなく、もっと単純な経済の話に基盤を置いている。
資本主義社会には国際市場というものがあり、リカードを持ち出すまでもなく国際分業がその効率を高めている。これに反して一国内での自給自足を追求するならば、どうあっても経済基盤が弱体となることは避けられない。そこで無理をおして一国だけでの社会主義経済の建設に励もうとしても、上手くいかないのは目に見えている、というのである。
したがって社会主義のためには世界規模での革命とその相互の連携が必要であるとした*5

世界同時革命

しばしば誤解されるが、トロツキーはこの語は用いていない。
おそらくは全共闘の時代に作られた言葉であり、日本赤軍などが用いたことで知名度は高い。
単純には

ロシア革命は、一国だけでおこなったために、周囲の国や列強から弾圧され、歪んだ道すじをたどったという反省から、それぞれの国々で同時革命を起こすことで、本当の革命は実現できるとした考え方。

http://www.asahi-net.or.jp/~GR4T-YHR/zenkyoto_sa.htm

である。

*1:トロツキー自身の論文タイトルに倣うならば「永続革命論」

*2:あるいはその前段階の社会主義社会

*3:単なる外交の失敗とかで片付けてもいいかもしれませんが。

*4:抑えられたという方が正確か

*5:いわゆる「東側」が成立したにもかかわらず、結局この指摘は正しかったと言える。逆に、「社会主義市場経済」も世界市場へのアクセスという点で考えれば、出てくるべくして出てきたとも言える。

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