安倍晋三元首相の暗殺を契機に積ん読だった本を引っ張り出してみた。安倍三代作者:青木 理朝日新聞出版Amazonタイトルどおり、安倍晋三元首相の父方の祖父・寛、父・晋太郎、そして晋三本人の三代の軌跡を追ったルポルタージュである。丹念に集めた証言を元に構成されており、読み応えがあった。私が読んだのは文庫版だったが、単行本が上梓されたのはちょうど例の安保法制が話題になっている時期だったのだろう、戦争体験者の証言が生々しい。さすがに戦争経験者で戦争を望む者はひとりもいない。とくに面白いのは、反戦の政治家として軍部と闘った父方の祖父・寛の姿である。熱い想いをもって政治家を志、地盤もない選挙区で地歩を固め…