また福澤が預言的な内容を『時事新報』に書いていた。 「田畑山林を人に貸すは、富人にありながら貧民を相手にして、貧乏人の銭を集めて富豪の庫に納る仕事にして、然かも貧富直接の関係なるが故に、人情として貧人の無理を許さゞるを得ず、之を許さゞれば怨府たらざるを得ず。仁と富と両立せざるものは正に地主の境遇にして、其苦心は如何ばかりなるべきや」 ――地主という商売は、これからどんどん割に合わなくなるだろう。 おっそろしく煎じ詰めて表現すれば、だいたいそんな風になる。 何故かと言うに、年を追うごと小作の側が理屈っぽくなるからだ。 「是れも封建時代に数百年の関係を生じ、人事都(すべ)て穏なる世の中なれば、地主…