家族が寝静まった真夜中に ひとり懐かしく中原中也の詩を詠んだら 不覚にも、 わあわあ泣いてしまいました。 生い立ちの歌 Ⅰ 幼 年 時 私の上に降る雪は 真綿のようでありました 少 年 時 私の上に降る雪は 霙(みぞれ)のようでありました 十七〜十九 私の上に降る雪は 霰(あられ)のように散りました 二十〜二十二 私の上に降る雪は 雹(ひょう)であるかと思われた 二十三 私の上に降る雪は ひどい吹雪とみえました 二十四 私の上に降る雪は いとしめやかになりました……Ⅱ私の上に降る雪は 花びらのように降ってきます 薪の燃える音もして 凍るみ空の黝(くろ)む頃私の上に降る雪は いとなよびかになつか…