外野の芝は、午後の光を受けると、少しだけ海に似てくる。そのいちばん奥に、センターは立っている。レフトとライトが両翼なら、センターは骨である。左右の翼を支え、飛行の釣り合いを保つ。打球が上がった瞬間、その選手は走り出す。まだ誰にも見えていない落下地点へ、先に身体を運ぶ。速く走るだけではない。むしろ、速さを見せないところに、よいセンターの技術がある。 野球の外野守備で、最も多く打球が飛ぶのはセンターである。全外野の約4割近くのアウトを記録し、レフトやライトよりも守備機会が多い。 球場が扇形に作られ、センターが最も深いのも、まっすぐ打ち返された打球が最も遠くへ飛ぶからだ。そこには、野球という競技の構…