1909年、東京生まれ。小説家。格調高い漢文調の「山月記」「弟子」「李陵」等で知られる。 ほかにも南洋パラオ群島で島人たちの一見のんびりした生活を書いた連作、バビロニアが舞台の「文字禍」、西遊記に材をとった「悟浄出世」「悟浄嘆異」などがある。
1942年、死去。
たまに発作のように中島敦の小品を読みたくなるときがあります。小品といっても美しく磨かれた珠のような佳作。佳作というか名作。無駄なく、欠けているものもない構成美と、「何々である」と野暮な解説をさせる気も失せる深淵さ。謙虚さ。そんなものを湛えている彼の作品と触れ合いたくなってしまいます。 以前「山月記」を取り上げたのですが、今日は「名人伝」を読んでみました。 mori-jun.hatenablog.com やっぱり面白い。読後感も上品な余韻の残り方。「名人伝」について、少しお話ししてみたいと思います。 「名人伝」の簡単な紹介 弓における「ドラゴンボール」的成長 オチが素敵 「名人伝」の簡単な紹介 …
日曜日、 毎朝聞いている、本の要約サイト「フライヤー」の要約。少なくとも、必ず1日1冊は新しい本の要約が出ており、ほとんどのものが耳読可能だ。 この前の金曜日だったかな。基本的にはビジネス本の要約が多いのだけれど、その日の要約は「山月記」だった。中島敦の作品である。 めちゃくちゃ懐かしい。中学生か高校生の時、現代文か何かの教科書に載っていた気がする。教科書に載るくらい有名なのだが、それくらい短時間で読めるということなのだ。だから、要約もほとんど本文全てと言っても良いくらい、かなり濃い内容になっていた。 主人公の李徴が虎になってしまう話だ。かなりシンプルに言うとこうなるのだが、ただ印象的なセリフ…
読書日記 2024年2月7-13日 ・ヴィクトル・ユーゴー(豊島与志雄訳)『レ・ミゼラブル(完全版)』(後半) ・龍門諒、恵広史『BLOODY MONDAY』6-11巻 ・ダンテ・アリギエーリ(平川祐弘訳)『神曲 地獄篇』 ・ダンテ・アリギエーリ(平川祐弘訳)『神曲 煉獄篇』 ・ダンテ・アリギエーリ(平川祐弘訳)『神曲 天国篇』 ・岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読』 ・岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読 海外文学篇』 ・滝沢秀一『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』 ・伊坂幸太郎『チルドレン』 ・萩原朔太郎『詩の翻訳について』 ・中島敦『山月記』 以下コメント・…
私は中学までは主に歴史小説を読んでいたのですが、高校に上がって、いわゆる純文学小説を読むようになりました。 それは、教科書に載っていた中島敦「山月記」や太宰治「富嶽百景」に触れたからというのもあります。 それ以降は書店で自ら本を選び自分の知らなかった世界や自分の持っていない感性を新鮮に読むようになりました。 並行して歴史物も読んではいましたが。 そんな一種の原初の読書体験を思い出しているうち、「山月記」を教科書掲載文も合わせて四回目ほどの再読をしてみたくなりました。 文庫本ですと12ページほどの長さです。 約二十年ぶりに、どう読めたか、感じたか、考えたことなどを記してみたいと思います。 中島敦…
中島敦の短編小説「山月記」は、唐代に詩人となる夢を叶えられず、虎になってしまった男・李徴の物語である。この作品は、中島のデビュー作であり、彼の代表作として知られている。 「山月記」の主人公・李徴は、幼い頃から詩才に恵まれ、将来は名詩人になることを夢見ていた。しかし、李徴は生来の臆病さと尊大な羞恥心から、詩作に没頭することができず、いつしかその夢は叶わないものとなってしまった。 ある日、李徴は友人の袁傪と共に旅に出た。しかし、旅の途中で李徴は突然、虎に変身してしまう。李徴は、自分を変身させたのは、詩作への情熱を捨てた自分への天罰であると悟る。 虎となった李徴は、荒野で生きていくことを余儀なくされ…
「ジキル博士とハイド氏」の作者、ロバート・ルイス・スティーヴンソンは晩年サモアに住んでいました。病弱な身体に良い温暖な南の島に興味を持っていたようです。 なぜか中島敦はこのスティーヴンソンのことを小説にしました。(ロバァト・ルゥイス・スティヴンスンと表記しています。)同様に病弱だったからなのか、南洋に興味を持ったのか。この後中島敦も偶然南洋に向かうことになります。 この内容がどの程度正確かわかりませんが、サモア人を見下す白人と距離を置き、現地の人々と対等に交流するスティーヴンソンが描かれています。スティーヴンソンは中島敦自身なのかもしれません。 文春文庫の現代日本文学館で読みました。収録作品「…
お題「好きな哲学者とその理由を教えて下さい」 よくあるパターンかもしれませんが、中島敦の小説を知ったのは中学か高校の国語教科書で読んだ『山月記』だったと記憶しています。 ご承知の方も多いと思いますが、中島敦は戦前~戦中期の小説家。漢学者がたくさんいる家系で生まれ育った知識を基盤とした漢文調のリズミカルなタッチで進む短編小説は魅力的。 そのような背景を持った人物なので、彼の作品・作風は、中国の故事・思想に基づくものなのが主体、その中での単純な現代和訳が加えられたものが多いと考えてしまいがち。でも、その文章の中には彼自身の脚色が必ず加えられていて『李陵』では、李陵本人の話だけでなく宮刑になった司馬…
横浜、元町商店街にある「喜久屋洋菓舗」。 大正13年創業の老舗洋菓子店です。 創業者は石橋豊吉。ヨーロッパ航路の貨客船で、パン職人、料理人を務めたのち、元町にこの店を開きました。 元町通りが、山手の外国人居留地と、山下町の外国人商館とを結ぶ通勤路として賑わいを見せていたころ。ヨーロッパのパンや菓子が、まだ日本では珍しかった時代に、石橋がヨーロッパ各地から持ち帰ったレシピで作る洋菓子やパンは、人気を博しました。 また、外国人居留地のスイスの婦人が持ち込んだケーキのレシピを石橋が再現すると、たちまち評判になり、それを機に各国のケーキのレシピが集まるようになり、当時どこの店よりも早く、ヨーロッパのケ…
2023年1月に読んだkindle本の記録。 一部、読了していないけれども、記録のためにメモしておく。 kindle Unlimited(読み放題)と書いた本は、期間限定の場合もあるのでご注意ください。 正岡子規「万葉集を読む」 万葉集を読む 作者:正岡 子規 Amazon 無料で読める青空文庫版。 万葉集の一巻目に出てくる著名な和歌に対する旧態依然の評価を滅多切りにする小論。 子規らしい、切れ味のいい罵詈雑言が楽しい。 子規の句会や勉強会、きっと刺激的だったんだろうなと思う。 小林薫「強制邪霊師・斎(13)屍人の聲」 強制除霊師・斎 (13) 屍人の聲 (あなたが体験した怖い話) 作者:小林…
引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 簡単なあらすじ 李徴という主人公は、今でいえばキャリア官僚の地位にいて博学であった。 上下関係に嫌気を感じ、詩人になるために職を自ら棄てた。 しかしとても食べていけず憔悴しきった挙げ句、再び東へ出戻りすることに。 同期は昇進し、李徴は気がだんだんおかしくなりいよいよ発狂。そして姿を消す。 ・・・ 読み終えてすぐにトルストイ『人生論』を想起させた。 無駄なことをしているうちにあっという間に時は過ぎ取り返しがつかなくなる。 仮にこの物語が主人公の余計なプライドに対するアイロニーを示唆するも…
※この記事は広告を含みます にゃんこたんです 昨日の記事で、小野不由美さんの最新作を昨年と書いてしまったのですが、なんと令和元年と5年前でした 失礼いたしましたnyankotanturezure.hatenablog.com 訂正済みです 歳をとるのが早いわけですよ…5年前なんてあっという間でした 一日一日は長く感じたのですが、気づいたらもう5年10年とたっているわけですよ その間に何かを成したのなら良かったのですが、何もないと「何やってたんだろう」なんて思ってしまいます 今がそう思っているところです 計画を立てて毎日を過ごさなければ、こうなってしまうのかと思ってしまいました 先日に、10年後…
拳児 (5) (小学館文庫 ふC 5) 作者:藤原 芳秀,松田 隆智 小学館 Amazon 3月31日の視聴 ・『ゲームゲノム「ライバル〜ストリートファイター〜」』 →ゲストは横山裕と、ゲームクリエイター・中山貴之。中山さん、格闘ゲーム作りたくてカプコンに…変態だな。 →へー、いまは「投げ」とかあんのね。 →ゲーセンの対戦式だと、負けると100円無駄になんのかー。 →“BEAST”梅原大吾だ! →ストIIのキャッチコピー「俺より強い奴に、会いに行く」。うひょー。 →最新作「ストリートファイター6」のゲームモード。1人プレイ用のRPGみたいな。ゲーム内キャラクターに教われるの?サイコーだな。 →…
だいぶ前に読んでみた。 長男が次男に向けてかけた言葉に愛を感じた。 人生の荒波にのまれ溺れかけている次男に、「人生は長いよ。だけど本気で何かを成し遂げようと思ったら、短い場合もある。高校の教科書に載っていた山月記読んでみるといいよ。若いうちに悩めるだけ悩んでおけばいい。」 私は灯台になれたらなって思ったものです。 早速買ってきて次男と私と読んでみました。 自分本位に生きてきた才能ある男性が虎になってしまう話なんですが、こんな言葉をある男に残しました。 「人生は何事をも為さぬにはあまりに長いが、何事かを為すにはあまりに短い」 自分のことに当てはめて考えてみると、確かにずっと続けてきた介護の仕事に…
よいこのみんな〜! 今日は絵かき歌で遊ぼうね! 小春お姉さんといっしょに描いてみよう! どんな絵が出来上がるかは描いてみてのお楽しみ! さっそくやってみよう! お山が2つありました〜♪ 下にはまんまる金魚鉢〜♪ まるで豊頬の美少年だね〜♪ レーズンが2粒泳いでる〜♪ トンビが回転しながら狙ってる〜♪ (速い! 速すぎる!!)(合いの手) え〜っと...トンビがなんか丸いの持ってるね〜♪ (ハムかな?)(サラミかも!)(合いの手) 額と両頬に歴戦の傷跡〜♪ (好きなくらい描いてよい)(あればあるだけかっこいいから) 凛々しい眉毛〜が、雄々しいね〜♪ 眼光も鋭いね〜♪ お山にかまぼこを埋めれば、あ…
てなことで本日は11日。春アニメ1話感想もお休み。1が付く日なので読書感想文をお送りいたします。 本日、感想をお送りするのは澤村伊智さんの『すみせごの贄』でございます。 本作品は人気シリーズ『比嘉姉妹シリーズ』の最新作です。 シリーズにある通り、霊媒師である比嘉姉妹、真琴と琴子、そして彼女たちとかかわりのある人たちが、次々と謎の怪異に遭遇する、と言う物語です。 映画化もされた『ぼぎわんが、来る』から始まり『ずうのめ人形』『ししりばの家』『などらきの首』『ぜんしゅの跫』『ばくうどの悪夢』『さえづちの眼』と続いて、この『すみせごの贄』が8作目となっています。 ホラー、怪奇小説としての魅力をベースに…
はじめまして、Noraです! 今回は私のおすすめの本を紹介したいと思います。本とは言っても、イラストに関連する本です。 皆さんは「乙女の本棚」というシリーズをご存知でしょうか? このシリーズは、芥川龍之介などの有名な作家さんの小説にこれまた有名なイラストレーターさんが挿絵をつけた絵本のシリーズです。 小説が好きな人もイラストが好きな人も楽しめます。 すでに20冊以上も出ているので、気になるものが見つかると思います。私のお気に入りは「山月記 中島敦+ねこ助」「死後の恋 夢野久作+ホノジロトヲジ」「檸檬 梶井基次郎+げみ」などです。 図書館などにもあるので、是非読んでみてください!
【まずは一言】 中島敦ってこんな性格でした? 【もうちょっと詳しい感想】 何年か前に出てる分のアニメシリーズ全部見て、去年か一昨年に最新シリーズやってたからまた最初から一気見して、それ以来だったから内容どんなだったかなって思ったけど結構覚えてるもんだね。 個人的に2期あたりまではかなり面白く見てたけど、それ以降はキャラも増えすぎてスケールも大きくなりすぎて、ちょっとついていけないですかねぇって思わなくもなかったけど、まあ面白いから見ちゃうよね。 で、映画が出てるの知らなかったな。というか観た気になってたけど違った。 内容は割愛するけど、まあいつものごとく事件に巻き込まれてなんとか解決しますよ~…
あらためて考えてみると、父は書いたものをほとんど残さなかった。今のように誰もがSNS に手を出すような時代ではないから、一般の人が何かを書いて発信するということは稀だった。ただし、父は文学好きで、小説以外でも思想や詩歌、古典についての専門書も読み込んでいたし、原稿用紙や日記帳に書き物をしたり、短歌を作ったりしている姿を見たことがある。書くことを苦にしていなかったし、文章は巧みだったと思う。 勤務先の工場で、工場長クラスの人にあいさつ文を頼まれて原稿を作っていたこともあった。社内では出世を望まず平社員のままだったが、本好きのインテリという評価はあったのだろう。全国的な社内報に、顔写真入りで長めの…
中島敦といえば明治・大正・昭和と33年の短い人生で3つの時代を生きた日本を代表する作家である。中学校の教科書にも登場した記憶がある方も多いはずだ。 今回取り上げた短編の名手中島敦の『山月記』『名人伝』『悟浄出世』『文字禍』は、いずれも中短編。 虎に変身してしまった詩人がその人生を憂う『山月記』は芥川龍之介の『藪の中』を彷彿させる作風で、蚤の心臓を射貫くテクニックを磨いた弓の名人が弓を射ずに標的を倒す技を究める『名人伝』は「核の抑止力」を想起させ、西遊記の中で最もキャラの立っていない沙悟浄に自問自答を続ける哲学者(河童)として光を当てた『悟浄出世』に思わずほくそ笑み、文字の研究に人生を費やした老…
中島敦先生の作品。 人間、道を極めようとするとケモノになる。 視覚しやすいように虎になったが、 私は本能の表れではないかと解釈している。 誰しも、 あとからふりかえると、 なぜ、あの時に、あるものに、のめり込んでいたのかと思うことがあるのではないか。 それが、ゲーム、本、スポーツ等もあれば、 人との関わりであったり様々と思う。 前にも書いたが、 進みたければ進めばいい。櫂を漕ぎ続ければいい。 『センゴク』の織田信雄より。
服部研究室に提出された卒論題目一覧です。
流言のメディア史 (岩波新書 新赤版 1764)作者:佐藤 卓己岩波書店Amazon流言蜚語、風評、誤報、陰謀論、情報宣伝…….現代史に登場した数々のメディア流言の「真実」を見極め、それぞれの影響を再検証するメディア論。ポスト真実のデジタル情報化時代に求められる、「バックミラーをのぞきながら前進する」メディア史的思考とは何か。「あいまい情報」のメディア・リテラシーがいまここに。 元は新潮社の「季刊 考える人」掲載のコラムをまとめたもので、なかなか読みやすいが内容は充実している。あまり笑えないような、深刻な指摘もあるもあるのだけど、声に出して笑った箇所をまず紹介しよう。 数年前のことだが、臨床心…
こんにちは♬.*゚ 朗読家・朗読講師の小島香奈子です🍀 新年度が スタートしましたね🌸 ٩(*❛▽❛)۶・゚:✩ *:゚☆。.:*・゜☆。.:*・゜ 今日から 新生活がスタートする方も たくさん いらっしゃると思います✨ そして 本日は エイプリルフールですけれど… これは 嘘ではなくって ほんとうのお話です♬.*゚ ❀.❀. ( ˶'ᵕ'˶) ❀.❀. わたしの 可愛い生徒様にして、 プロのナレーターの 宗あい子さんが、 見事❣️❣️ オーディションを勝ち抜いて 📕東京朗読フェスティバル✨📕✨ 出演が決まりました❣️❣️ ✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。☆。.:*・゜☆。.:*・゜ ( お写真は…
宇宙の果ての本屋 現代中華SF傑作選 作者:顧適,何夕,韓松,宝樹,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,王侃瑜,程婧波,梁清散,万象峰年,譚楷,趙海虹,昼温,江波 新紀元社 Amazon 中国SFは「三体」が面白かったので短編アンソロジーにも手を出してみました。10点満点で読書会参加者の平均点が最も高かったのは、王晋康「水星播種」(平均9点)でした。今回の「誰得賞」です。読書会の主な声は以下のとおり。点数は個人的な点数で、参加者の平均点ではありません。
瞬報エキスプレスです! 今回は、 【速報】声優・上村祐翔、結婚報告「新たなご縁に恵まれ、前へ進むことを決意」 記事末に、直筆コメント画像あり↓ というニュースを瞬報します↓ 声優の上村祐翔(30)が16日、自身のXを更新し結婚を発表した。 上村は「私事で恐縮ですが、私、上村祐翔は、結婚いたしましたことをご報告させていただきます」と伝え「新たなご縁に恵まれ、前へ進むことを決意しました。まだまだ未熟な私ですが皆様への感謝の気持ちを忘れずに役者として、表現者としてより一層成長できるように努めます」としたためた。 上村は1993年10月23日生まれ。出演作品は、アニメ『文豪ストレイドッグス』(中島敦)…