柳田國男の恋 岡谷公二 著 表紙 柳田國男の恋岡谷公二 著 平凡社 発行2012年6月25日 初版第1刷発行松岡國男の恋田山花袋はその初期において、明らかに國男をモデルとする、美貌の大学生の恋をテーマにした沢山の恋愛小説を書いた。花袋は、或る一時期、松岡國男という存在に呪縛されていた。この呪縛が解けたとき、つまりもはや美貌の大学生を主人公にして、他人の恋愛を及び腰でなぞるのではなく、「前歯のひどく突き出た醜男」の自分自身を主人公に据えたとき、花袋の自然主義がはじまった。p21國男は恋と詩の夢から覚めた。その夢は現実より一層リアルな夢、さめた後もしばらくは、現実そのものが幻と見えかねない濃密な夢…