1932~33年(昭7~8)改造社刊。上下2巻。直前まで朝日新聞に連載されたものを挿絵とともに出版。(デジタル・コレクション収容は上巻のみ) 1935年(昭10)春陽堂刊。日本小説文庫367~9、前中後全3篇。 直木賞に名前を残した直木三十五なのだが、これまでその作品に出会う機会はなかなかなかった。これも国会図書館デジタル・コレクションによる個人送信サービスの賜物である。 明治維新直前の大混乱期における会津藩の久蔵、久馬、久伍の三兄弟のそれぞれの生き様を描いている。世相を描く中で気が引かれたのは、当時の人々の中で小唄、ざれ歌、詩吟、囃子唄などが人々の口の上でごく自然に歌われていた点である。 そ…