1989年11月、詩学社から刊行された北見哲哉(1934~1985)の詩集。編集は岩渕欽哉。 生前、北見哲哉は第三詩集を上梓すべく準備にとりかかっていた。予定では一九八四年の秋から年末にかけて具体的に進め、翌年の春頃には発行できるよう、中村隆氏に跋文をお願いしていた。 だが、ほとんど同時に急激な病状の悪化によって、その望みはかなわず、本来ならほぼ出版の期日とも思える一九八五年四月十一日、桜の満開の須磨日赤病院で五一歳の生涯を閉じた。 それから、四年の歳月が瞬く間に過ぎた。今、ようやくこの遺稿集的北見哲哉詩集出版に漕ぎ着けて、改めて実兄でありまた詩の仲間であった北見哲哉の死を思い知ると同時に、ボ…